〜序章〜


 俺の名前は堀馬 栗太郎(ほりま くりたろう)。東本建設の東京本社で営業をしている。自慢じゃないが社内の成績は上々、上司からのウケも良い方だと自分では思っている。
そんな俺にある日、1通の辞令が舞い込んで来た。
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            辞 令

死 月 遺痴 日付けをもって
広報部、陸上スポーツ課、課長に任ずる。
又、##支社に籍を置き
陸上選手トレーナーを兼任すること
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…正気か人事部の連中は?

何でも企業イメージアップの一環で陸上部を立ち上げ、広告塔に成りうるべきアスリートを育成せよとのこと。

…正気かウチの上層部は?
この不景気の中陸上部を閉鎖する企業が後を絶たないと言うのに、わざわざ陸上部をゼロから立ち上げろと? そんでもってヨソからリストラされたスタッフを二束三文で買い叩けば良さそうなものを全部自前でやれと? そんなそこらへんの一山ナンボのベンチャー企業より無謀なプロジェクトXを陸上なんて超ドシロウトの俺にやれと!? しかも3年スパンで達成させろとぉ!!?

…泣きてえ。


情熱☆熱血アスリーツ
〜泣き虫コーチの日記(ダイアリー)〜

(プレイステーション用ソフト メーカー・アスミック 標準小売価格5800円)


注・この物語はゲームに基づいたフィクションです。



酸 月 荷重誤 日(不自然なくらい晴れ)

足が重い、何で俺がこんなことをしなきゃならないんだろう。
とにもかくにも広報部の友部さんに会い一連の説明を受けることに。
「たった1名の陸上部ですが…」
コーチは陸上部員に入らないのか?
「選手を選択して下さい」
候補として4名のファイルを手渡される。
一人を選んだら残りはリストラ要員なのか?
ともかく4名のプロファイル…じゃなかった、プロフィールを確認する。この時何故か俺の脳裏に「アニキ、外専、フケ専、黒専」という物騒な単語が飛び交ったのは何故なんだろう。ともかく一番コミュニケーションが容易だろうということで日本人、タナベ ケイタロウを招聘することとした。

「今日から3年間、お世話になります。」
…俺、最初から見限られてる?
速攻で泣きてえ。


死 月 遺痴 日(空々しく晴れ)

兎にも角にもコーチとしてのスタートの日だ、不満は尽きないが、頑張っていくしかないだろう。
「当面の資金として50万円振り込んでおきましたので、後でご確認下さい。
 それでは、頑張ってください。」
おい待てコラ、マネージャーまで兼任しろとは今まで一言も言ってねえじゃねえかよおおぉぉぉ!!


…全力で泣きてえ。


死 月 荷重質 日(霙と雹のコラボレーション)

広報部の友部さんから大会参加の打診が。データを見る限り、高飛び140cm、幅跳び5m80などという高校生にも負けそうな今の状態じゃ出ても恥をかくだけだろうから参加しない旨を伝える。コイツ今までドコで何やって陸上選手を名乗ってるんだろう? 謎だ。

…密かに泣きてえ。


死 月 荷重鉢 日(暴風雨)

このケイタロウというアニキ…もとい男、扱いにくいのなんの…
口調こそ今時そんな奴ぁいねえよとツッコミたくなるほどの体育会系タイプだが精神構造に難があるらしく、ちょっとベストの状態で休みを与えるとほぼ問答無用でつけ上がる。ちょっと叱るとすぐ鬱状態。キサマは小学生か?
ホンマ泣きたいよコッチは。


誤 月 遺痴 日(悲しいくらい晴れ)

今月分の予算が入った事を友部さんから聞く。その時聞いた愚痴、
「しかし、陸上競技でイメージアップなんて… いつもの事ながら、社長の思いつきで振りまわされるこちらの身にも…」
オマエがモチベーション下げに来てどうする!

…軽快に泣きてえ。


誤 月 荷重苦 日(暗雲漂う)


練習後、不意に一人の女性が声をかけてきた。その女は社長の秘書を名乗っている。が、
貴様なんてビジュアルしてやがる!!
ってゆーか、どうしてココは対ホモ仕様のような陸上選手以外、どいつもこいつも男女問わずで魂の抜けた抜け殻のような顔をしているんだろう? みんなしてこのプロジェクトに期待してないって事か?

…問答無用で泣きてえ。


質 月 荷重質 日(晴れてるのに何故か雲が多い)

初めてケイタロウを大会に送りこむ。

結果:惨敗

失意のうちに何故かもう一回大会をやりなおし(リセット&ロード)。今度は大会前にドクターが薦めてきた五万円の「能力をアップさせる薬」に手を出す…

結果:ドーピング検査にも引っかからず4種目中3種目を制し優勝。

…これだったら最初から薬漬けにしておけば良かったのか?
自身喪失、泣きてえ。


獣遺痴 月 惨 日(腫れ物に触るように晴れ)

二度目の地区大会参戦。これも薬漬けであっさりと優勝。
いいのか!? 本当にこれでいいのか!?
おじさん泣いちゃうよ!?


獣遺痴 月 獣誤 日(ねっとりと晴れ)

早くも行き詰まる。
まず、ケイタロウの育成だが、育成の成果が競技記録のみにしか反映されない。競技記録にしても「順調にトレーニングをこなしています」と言われても2週間も記録が伸びていないなんてのはザラ。
半年もトレーニングを積ませたのに成長した実感が湧かない。しかも競技トレーニングそのものよりもこの野郎のメンタルケアが大変。ちょっとつけあがったり落ちこんだりするだけで今までのトレーニングが無駄になるほど記録が落ちる。それも前にも書いたようにゴンディションの波が必要以上に激しい。

…こいつはトレーニングどうこうより早急にカウンセリングを受けさせたほうが良いと思う。

俺のほうが鬱になりそうだ、泣きてえ。


遺痴 月 獣質 日(ドス黒い雪)

ついに金銭面でも行き詰まる。

会社から出る予算だけではとてもじゃないが充分なトレーニングが出来ない、資金を調達しようとしたら1年目から大会で勝ち続けるしかなく、その大会も薬に頼らなければ勝てないような有様。
どう対処していけば良いのか分からないので、会社にあった役に立たなそうな指導要領(ゲームマニュアル)に手を伸ばした。



この全体から漂ってくる取って付けたようなホモ臭さは一体何なんだろう…


結局私はこのプロジェクトをばっくれ、退職することを決意。(ゲーム放棄)

…あばよ!!(柳沢○吾風)


…後日談


退職当日、今までのケイタロウの集大成をみてみようと思い、一通りの競技をやってもらうことにした。(競技会モード、一言でいえばポリゴンでハイ○ーオリン○ック)

…今更ではあるが、
この素人丸出しのフォームは結局矯正されないままなんだな。

…もういいや、
…きょうは場末の酒場で安酒すすりながら泣くことに決定。俺の退職記念だし。


「情劣(じょうれつ)・熱尻(ねっけつ)・ASSリーツ(アスリーツ)」
〜おしまい〜


※結論・「兄貴ネタ」と「ホモネタ」は似て非なるものなり。