にこにこぷん(定価:6500円)
 NHKエンタープライズ  PC−E・Hu  1991.12.13

 

 先日、筆者の家にあるメガドライブ2のAVケーブルが半狂いになってしまったため、その手のゲーム屋に代替品を探しに行った時のこと、ついでに何か面白そうなソフトを買って帰ろうと思い、色々物色していましたらPCエンジンのコーナーにて凄くタイトルが平仮名なソフトを発見してしまいました。
 背表紙には『にこにこぷん』の6文字。棚をザーッと見ても平仮名オンリーのソフトはこれだけでして、少し目立っています。『にこにこぷん』はN○Kで放映されている『おかあさんといっしょ』という、これもまた平仮名オンリーチックな対幼児向け番組内で1992年ごろまで放映されていた(←調べた)、ネコ、ペンギン、ネズミという3種の着ぐるみをかぶった人間が、くるくる動き回るロマンチックな寸劇です。
『ネコとネズミが一緒にいるのに食物連鎖が起きないのは中に人間が入っているから。』
と、子供心に可愛い可愛いことを考えながら見ていたためか、結構見ていたはずなのに肝心の内容はほとんど覚えていません。しかし、懐かしい気持ちにはなったので、どんな内容なのかなと思いソフトを手に取ってみました。
「・・・・・・・・・・・・(他はイイとしてネズミの『ぽろり』って、こんな怖い顔してたかなあ)?」
 記憶の中にあるぽろりの姿とは、随分かけ離れたぽろりがそこにいました。何か『キシャーッ』というような奇声が似合いそうなモンスター、コレは大変恐ろしいです。やはり、思い出は美しいままにしておくべきだと、こんなことで実感してしまう筆者。
「うわっ、何かそれ凄く凄いな・・・。」
 メガドラコーナーへ行っていた友人が戻って来るや否や、いきなり『凄く凄い』発言。
「とにかく『ぽろり』が怖過ぎるんだけど。」
 率直な感想を述べたところ、友人は面白そうだから買ってしまえと素晴らしく適当に薦めてきます。
『他人が買うんだから別にクソゲーだってイイもんね。』
という、友人の中に存在する対岸の火事的思考が見え過ぎな所に、ちょっとムカ腹タつ思いですが、結局このパッケージの絵が筆者の揺れる想いを心のドン詰まりまで追い込んだため購入する運びとなりました。
 家に帰り、早速ケースを開けて説明書を取り出してみました。説明書はブックタイプではありません、ビローンと広がって1枚の紙に。筆者は音楽CDの歌詞でもこういうタイプは読みづ辛く思い、余り好きではありません。裏には
「きれいに色をぬってくれにゃ〜!」
と、ネコ口調で書かれていまして、ほとんど1面真っ白。塗り絵になっています。本格的な塗り絵がついてきたゲームというのを筆者はコレ以外に知らないのですが、もしかしたらコレは世で唯一の塗り絵つきソフトとなるのかもしれません。こんな余計な所に気を配っている辺り、ゲームの方には過度な期待をしてはいけないと思い始めました。
 説明書の表側なんかは、もう読むのが面倒くさくなったのでHuカードを差し込み早速電源をON。ショップでパッケージを手に取った時、ついでに裏側のゲーム画面もチェックしておいたのですが、どう考えても横スクロールアクションゲームだということが丸わかりの画面でしたので、今さら別に操作方法の説明なんて読まなくても大丈夫です。
 ゲームのOPは、かなり凄絶なものでした。宇宙から降ってくるキャラクター達、そしてデカい樫の樹の陰から順々に飛び出して、空を飛んでくネコ、ペンギン、ネズミ。悲しい音色の3和音とともに画面下部にはOPテーマの歌詞が平仮名で流れます。これはもしかしたら実写版というか、本家のOPを再現したのか。ステキな精神力がないと、こんなドリームなOPは作れません。
 そしてこれは再プレイ後にわかったことなのですが、このOPはスキップ不可。開発者御自慢のOPは起動する度に、強制的に何度も見せつけられることになります。ただ、まあこんなクソゲーレビューの題材に選ばれるゲームですので、頻繁にプレイしようと思うこともそうは無いため、余り問題というワケでもないのですが、某デスなゲームの社名ロゴばりの苛立ちを覚えます。
 そしていつしかタイトル画面へ。画面には『ボタンをおしてね!』と書かれています。RUNボタンを押す前に、たまたま十字キーの上ボタンを押したところ・・・ゲームが始まってしまいました。Tボタンとかで始まるのなら、まだ納得の行くところですが、どのボタンを押してもゲームがスタートするとは凄く無駄な方向に傾いた気配りです。
 そしてこれまたスキップ不可なストーリーが流れ始めるのですが、大体要約してしまいますと、メインキャラクターの3人が、実は海賊の末裔らしいぽろりの船で外洋を進んでいた所、突然嵐に巻き込まれてしまいどこか知らない島へ。助かったのも束の間、船は何の説明もなく壊れていて途方にくれていると、そこへ自称『くいしんぼうかいじゅう』のパックンが登場。
 パックンはニコニコ島まで船を運んでくれるというのですが、お腹が減って体力が無いと抜かしやがります。仕方なく、そんな自力で食べ物を確保出来ないような絶滅種予備軍な怪獣のために、6つのステージに分けられた名も無き島に遭難した3人は食べ物を集め回ることになるのでした。とにかく、ニコニコ島は舞台ではありません。
 ステージ開始前、3人の顔グラフィックと供にプレイヤーキャラ選択画面が出てきます。取りあえず『うらおもてやまねこ』だという、動きが素早そうなじゃじゃまるを選択すると、砂浜が舞台のすてーじ1が始まりました。が、目一杯トロい速度で砂浜を進むじゃじゃまる。中は人間ですが、着ぐるみを着ているから遅いという隠れた設定なのでしょうか。
 そんなドン亀みたいなじゃじゃまるの前にカニが立ちはだかります。Uボタンを押して何かしら攻撃を加えようとすると、いきなりジャンプ!見事にカニを飛び越え無傷ですが、いかんせん筆者の思っていたようなアクションは起きず、目はテンに。
 これはマ○オ以後、横スクロールアクションゲームの基本操作と言っても過言ではないAボタン=ジャンプ、Bボタン=攻撃という設定の逆を地で行ってしまった設定ミスなのかと思い、試しにTボタンを押してみたところ、じゃじゃまるは同じ軌道でジャンプをしてしまいました。
 これでは敵キャラと遭遇しても、こちらはかわすことしか出来ません。そしてこの後操作を侮り、カモメの上空からの急降下アタックを避けきれずダメージを食らい、後ろにバックステップするじゃじゃまる。ところがゲージは全然減っていません。横に置いてあった塗り絵説明書を開いて詳しく読んでみることに。
 どうやら下のライフゲージは、実は時間制限の表示だということが書かれています。そしてその下に驚愕の事実が。ダメージを受けてもゲームオーバーになりませんと書かれています。一応、3回ダメージを受けると気絶状態になり、しばらくピヨって操作不能に陥りますが、実際、最初から無敵状態ということになります。
 『無敵』が常識となったため、何にも恐れることは無くゲームはサクサク進みます。このゲームのクリア条件は、タイムゲージの右にステージによって変わる果物のマークがあり、そのマークの果物を3つ集めてステージラストに待つパックンに渡すという物なのですが、人を小バカにしているぐらい簡単に果物が取れてしまいますので、いくらこのゲームのターゲットが幼き子供であったとしても、パッドを握れる限りはクリア出来ること間違いナシです。
 ステージ中、いきなり砂浜にドアが立っていたりして、中に入ると『もう1つのお楽しみ 動く絵本に、絵合わせにこにこパズル』(←説明書ママ)が始まりますが、これも言いようの無いくらいの簡単さ。そんなプレイヤーの労力に見合うかのように、肝である『動く』部分は、どの絵もほんの数箇所しか動かないという、微妙っぷり。

絵本に登場するキャラクター達を登場順に紹介!

キャラクター どうでもいいコメント
かもめの郵便屋さん まぶたが閉じたり開いたり。1番動きの寂しいキャラクター。
ふくろこうじ じゃじゃまる、 右腕が1回転する。これで1番アクションが派手。
ぴよぴよ

目口が開いたり閉じたり。黄色い小鳥みたいですが、こんなキャラいたのか?

樫の木おじさん 目が開いて口が『うにゃぁっ』と開く。口の動きの嫌らしさは記憶に残るほどしつこい。
りんりん 右手を振る。カエルだけど、こんなキャラいた(略)?
ふぉるてしも ぴっころ くちばしが開いて閉じる。フォルテシモって『ごく強く』って意味だった気が・・・。
ぷんぷんかざん 煙が動く。生き物でもないのに登場したのはキャラ不足のためか?
ちびくろ 目が開いたり閉じたり。『ちびくろ』って、余り堂々と使ってはいけない言葉と聞いた気が。
ぴこぴこ 目口が開いたり閉じたり。黄色い小鳥みたいですが、こんなキャラ(略)。
るんるん 右手を振る。カエルだけど、こんな(略)?
樫の木おじさん 2度目の登場。しかし1度目の時と動きが一緒なのはどういうことか。
ぽろり かじりあっち3せい 尻尾が動く。怖いとしかコメント出来ません。
 筆者は絵合わせパズルを全部攻略した上で、初プレイ15分かからないうちにゲームを攻略してしまいました。余りにバランスが狂い、難易度が理不尽にハイ過ぎてクリア出来ないゲームの逆になりますが、最初からゲームオーバーが無く、難易度がロー過ぎてクリアする張り合いも無いゲームというのもクソゲーと感じる次第です。
 1回こっきりのプレイで終わるのも、せっかく買ったのに勿体無さ過ぎると思い、少し実験してみることにしました。例えば、果物を集めないでゴールへ向かってみる→ステージ最初に戻される。例えば、タイムアップを待ってみる→幽霊が出てきて追いかけられたあげく、ステージ最初に戻される。結果、どうしてもクリア出来ます。
 その日は、静かにPCエンジンの電源を切って寝ました。そして、次の日・・・。
「あのゲーム、どうだった?」
「『どう』って言われてもなぁ。」
 凄くにこやかに聞いてくる友人に樫の木おじさんの口が『うにゃあっ』と開く様を見せてやりたくなった次第であります。
 了