俺は妹達のことは大好きだ。
家族として誇りに思い、愛している。
だが、時として妹達にどう接していいのかわからないときがある。
夜中、体に重みのようなものを感じて俺の意識は覚醒した。
これが話しに聞く金縛りというやつなのかと目を開けた俺の視界に咲耶の顔が飛び込んで来た。
「……?」
「あ、お、お、お兄様!」
慌てたような咲耶の声に何となく自分の置かれた状況がわかった。
今日は咲耶の家に泊まりに来てたんだったな。
だが、何で咲耶の顔が目の前にあるんだ?
「どうしたんだ、咲耶?」
「え、あ、そのね……実はお兄様と……キスしようと?」
「キス?」
咲耶の言葉に首を傾げる。
「何でまた夜中にこっそりとキスなんてしようとするんだ?」
「え?」
「そんなの起きてるときにすればいいだろう」
「だって、お兄様……嫌がるから」
たしかに以前キスをせがまれた時には嫌がった記憶があるが。
「そんなの小学校の頃だろ。別に今は嫌ってわけじゃない」
「う、嘘!? 本当?」
「本当だって」
咲耶の目が大きく見開かれる。
昔は照れくさかったが、今は俺ももうキスぐらいは恥ずかしくない。
可愛い妹がキスして欲しいというのなら、それぐらいのことはしてやるべきだ。
「じゃ、じゃあ……お兄様……キスして……」
「ああ、いいよ」
うっとりと咲耶が目を閉じる。
その桜色の唇に親愛の情をこめて、軽くキスしてやる。
兄妹同士の軽いスキンシップのつもりで、すぐ離れるつもりだったが……。
「ん……んんっ!?」
ガシッと頭が固定される。
細身の咲耶が掴んでいるとは思えない万力のような力だ……。
「ん……んっ」
「んん、んんあ……んん、ん!!!」
唇をこじ開けて生暖かい感触が口に入ってくる。
何かの生き物のようにそれが口の中を四方八方に暴れ回る。
「ん……んふ……んん」
「むぐう、んん、むーむー」
必死に俺は暴れるが、咲耶の体は俺と一体になったかのように絶対に離れなかった。
俺の脳裏にその時よぎっていたのは、何故か映画『エイリアン』に出てきたフェイスハガーのことだった。